プロジェクト発足の背景
善意は、記録されないと消えていく。
友人に島を紹介した。島留学生の相談に乗った。イベントの裏方を手伝った。地域を支えているのは、こうした小さな貢献の積み重ねだ。けれどその多くは、誰の目にも留まらないまま流れて消えていく。本人ですら、自分がどれだけ島と関わってきたか思い出せない。AmanowaDAOの出発点は、シンプルな問いだった。「見えない貢献を、ちゃんと見える形にできないか」。貢献を記録し、感謝を交わし、信頼として積み上げる。それがこの基盤の役目だ。
住民票がなくても、島の未来に関われるか。
地域の意思決定に参加できるのは、原則として住民だけだ。しかし人口が減り続ける島にとって、島を想い、動いてくれる島外の人たちの知恵を借りない手はない。AmanowaDAOは、関係人口を「お客様」でも「応援団」でもなく、地域経営の第3の主体として意思決定に接続する取組だ。島との関わりが深まるにつれて、島のテーマについて考え、投票し、提案する機会が広がっていく。この仕組みを本気で実装している自治体は、まだほとんどない。だからこそ、やる価値がある。
海士町での実践と共創
「ありがとう」が、積み上がる仕組み。
AmanowaDAOでは、貢献に対して「AMAクレジット」が記録される。これはお金ではない。換金できず、売買もできない、貢献と感謝の証だ。誰かの手伝いをすれば、相手からの「ありがとう」とともにコインが積まれ、あなたと島の関係の歴史がプロフィールに刻まれていく。投機とは無縁の設計にしたのは意図的だ。守りたいのは、儲けではなく、「好きだから関わる」という純度。それがこのコミュニティの一番の資産だから。
登録するだけで、すぐに始められる。
参加のハードルは、できる限り低くしてある。専用のアプリに登録すれば、その日から自分の貢献が記録されはじめる。難しい設定も、専門知識もいらない。島のテーマへの投票やコメントは、スマホから数分でできる。そして、貢献と信頼を積み重ねた人には、自分で議題を提案する道も開かれていく。最初は気軽に、続けるほど深く。自分のペースで、島との関わりを育てていける。
生まれた変化と今後の展望
アンバサダー制度と、ひとつの仕組みに。
AmanowaDAOは、単体のアプリではない。海士町オフィシャルアンバサダーをはじめとする既存の制度と連動するアプリだ。デジタル名刺から広がった紹介の輪、イベントへの参加、島の人からの「ありがとう」。ばらばらに見えていた活動がひとつの記録としてつながり、あなたと島の関係の全体像が見えるようになる。制度と仕組みが噛み合うことで、関わりは点から線になっていく。
海士町モデルを、全国の地域が使えるOSに。
この仕組みは、海士町だけで完結させるつもりはない。貢献の可視化、役割の設計、意思決定への参加。これらを、同じ課題を抱える全国の地域でも使える形に整えていく構想が進んでいる。まずは海士町での実績を積み重ね、その経験をもとに、連携する地域とともに仕組みを育てていく。
